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理学療法士から公務員へ|「行政職」だけじゃない、実は3つのルートがある

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結論

公務員というくくりには、行政職への転職だけでなく、公立病院で理学療法士・作業療法士・言語聴覚士としての仕事を続けながら公務員になる道、自治体の専門職として働く道の3つのルートがあります。

「理学療法士から公務員に転職したい」と考えたとき、多くの人がイメージするのは市役所や県庁で働く「行政職」への転職ではないでしょうか。一般教養試験を突破して、資格とはまったく違う仕事に就く、というイメージです。

でも実際に調べてみると、公務員というくくりの中には、もっと現場に近い選択肢もあります。この記事では、①行政職への転職、②公立病院でPT/OT/STを続けながら公務員になる道、③自治体の専門職として働く道、という3つのルートを整理しながら、それぞれの試験内容・給与の仕組み・向いている人の違いまで解説します。

公務員には3つのルートがある

まず前提として、「公務員」とひとくちに言っても、リハビリ職にとっての選択肢は大きく3つに分かれます。

1つ目は、資格を離れて行政職(事務職)に転職するルート。市役所や県庁の一般行政部門で、書類作成や住民対応、政策の企画立案などに携わる働き方です。一般教養試験が中心になるため、これまでの臨床経験とはまったく違う勉強が必要になります。

2つ目は、公立病院でPT/OT/STとしての仕事を続けながら、身分だけ公務員になるルート。実はこれが、リハビリ職にとって一番現実的で、かつ見落とされがちな選択肢です。転職活動としては、通常の病院への転職とほとんど変わりません。

3つ目は、自治体の専門職枠(保健センターや介護保険課など)で、資格を活かした行政的な仕事に就くルートです。臨床とは離れますが、行政職ほど資格から遠くなるわけではありません。

「公務員になりたい」という気持ちの中に、実は「臨床は続けたいけど待遇を安定させたい」なのか、「臨床から離れて別の仕事がしたい」なのかという、2つの違う願いが混ざっていることは意外と多いものです。まずはこの3つのルートを頭に入れた上で、自分がどちらの願いに近いのかを考えてみてください。

①行政職への転職:地方公務員と国家公務員の違い

まず、資格を離れて一般の行政職に転職する場合、地方公務員か国家公務員かで大きく特徴が変わります。

地方公務員(市役所・県庁など)

地方公務員は、住んでいる地域や希望する自治体で受験できるのが最大の特徴です。異動の範囲も基本的にはその自治体の管轄内に収まるため、転勤による生活の変化が少なく、地元で腰を据えて働きたい人に向いています。

採用試験は一般教養試験に加えて、自治体によっては社会人経験者採用枠が設けられていることもあり、臨床経験をキャリアとしてアピールしやすい場合があります。試験の内容は自治体ごとに差があり、筆記試験と面接試験の組み合わせが一般的ですが、社会人経験者枠では小論文やプレゼンテーション形式の試験が課されることもあります。

医療職としてのバックグラウンドは、面接で「なぜ公務員を志望するのか」を語るときの説得材料になります。特に、患者さんの生活背景に関わってきた経験は、住民サービスを担う行政職にとってプラスに評価されやすい部分です。

国家公務員(厚生労働省関連機関など)

国家公務員は、厚生労働省やその関連の独立行政法人などが採用先になります。募集枠自体が少なく、狭き門になりやすいのが実情ですが、医療・福祉行政の企画立案など、専門性を活かせる仕事に携われる可能性があります。

全国転勤が発生する可能性がある点は、地方公務員との大きな違いです。数年おきに勤務地が変わることを前提にキャリアを考える必要があり、家庭の事情によっては大きなハードルになることもあります。

一方で、医療・福祉政策そのものに関わる機会は地方公務員より多く、現場で感じていた課題を制度設計の側から解決したい、という志向を持つ人には向いています。

どちらが向いているか

安定した生活基盤や地元志向を優先するなら地方公務員、専門性を活かしたキャリアの広がりを求めるなら国家公務員、という住み分けになります。ただしいずれも、行政職としての一般教養試験対策が必要になる点は共通しています。数的処理や文章理解といった科目は、臨床の勉強とは畑違いのため、対策期間として半年から1年程度を見込んでおいたほうが安全です。

行政職ルートの試験対策や、向いている人の特徴についてさらに詳しく知りたい方は、理学療法士から公務員への転職の記事もあわせて参考にしてください。

②公立病院でPT/OT/STを続けながら公務員になる道

ここが、リハビリ職にとって実はいちばん現実的なルートかもしれません。

県立病院や市立病院のような公立病院に理学療法士・作業療法士・言語聴覚士として就職すると、仕事内容はこれまでと変わらないまま、身分だけが地方公務員になります。国立病院に勤務する場合は国家公務員の身分そのものではありませんが、待遇面では国家公務員に準じる扱いを受けるケースが一般的です。

つまり、「行政職に転職する」のではなく「勤務先を公立病院に変える」だけで、公務員としての待遇を得られる可能性があるということです。臨床を続けたいけれど、雇用の安定性や退職金・福利厚生の手厚さも欲しい、という人にとっては、この選択肢を知っているかどうかで見える景色が変わってきます。

仕事内容も、入院・外来患者へのリハビリ、医師や看護師との連携、在宅復帰支援や介護予防リハビリなど、一般病院とほぼ変わりません。総合病院であることが多いため、幅広い疾患に対応する知識は求められますが、「公務員になるために資格を手放す」必要はまったくないのです。新人指導や研修会の運営といった教育業務が公務員ならではの位置づけとして加わることもあります。

採用試験は、行政職の公務員試験とは異なり、理学療法士としての専門知識を問う「専門試験」が中心になります。自治体や機関によっては一般教養試験も課されますが、行政職ほど比重は大きくありません。試験に合格すると採用候補者名簿に登載され、そこから自治体や機関の状況に応じて採用通知が届く、という流れになります。

採用倍率は自治体や年度によって差がありますが、募集枠自体が数人程度と少ないため、決して簡単な道ではありません。専門試験対策に加えて、面接での志望動機や自己PRの準備も欠かせません。

また、県庁や市役所の介護保険課、保健センターなどで、PT/OT/STの資格を活かした行政職員として働く求人が出ることもあります。こちらは臨床からは離れますが、地域のリハビリ施策や介護予防事業の企画など、資格の知識を活かした仕事に携われます。地域住民への健康相談や健康教育、リハビリテーション指導といった、臨床とはまた違う形で人と関わる仕事です。

給与の仕組み:医療職給料表と年功序列のルール

公務員として働く場合、給与のベースになるのが「給料表」です。地方公務員であれば医療職給料表、国家公務員であれば医療職俸給表(二)が適用されます。

行政職の給料表とは別の体系になっていますが、勤続年数に応じて号俸が上がっていく「年功序列」の仕組みは、他の公務員と共通です。年齢を重ねるほど平均給料が上がっていく点は、民間の病院・クリニックとは大きく異なる特徴と言えるでしょう。

初任給の決め方も独特で、最終学歴(四年制大学卒・短大卒など)、所有資格、就職時の年齢、同職種での実務経験、修学期間のうち、もっとも有利な条件を基準にして「等級」と「号俸」が決まります。つまり、臨床経験を積んでから公務員に転職する場合、その経験年数がそのまま初任給の号俸に反映される可能性があるということです。新卒でいきなり公務員になるより、数年の臨床経験を経てから転職したほうが、初任給の面で有利になりやすいケースがある、という点は覚えておいて損はありません。

国家公務員の医療職俸給表(二)の場合、平均給与はおおよそ35万円台、平均年齢は40代半ばというデータもあります。理学療法士全体の平均と比べると高めの水準ですが、これは年功序列で経験年数を重ねた人の割合が多いことも影響していると考えられます。

学歴によって初任給の等号にも差が出ます。国家公務員の専門職の場合、大卒であれば1級25号俸、高卒であれば1級5号俸というように区分され、手当を含めない俸給額だけでも数万円単位の開きが出ることがあります。民間の病院・クリニックと比べると、公務員は初任給が突出して高いわけではありませんが、年数を重ねるごとに着実に昇給していく安心感があります。また、退職金の仕組みも民間と異なり、勤続年数に応じて手厚くなっていく傾向があるため、長く働き続けることを前提にするなら無視できないポイントです。

メリットとデメリットを整理する

公務員として働くことのメリットは、雇用の安定性、年功序列による着実な昇給、福利厚生の手厚さに集約されます。一方でデメリットとしては、民間の病院・クリニックと比べて突出した高収入は狙いにくいこと、採用試験の対策に時間がかかること、②のルート以外では臨床経験を直接活かせないことが挙げられます。

特に②の公立病院ルートを選ぶ場合、実質的には「病院への転職」と変わらない転職活動になるため、公務員試験特有の一般教養試験対策が不要という点は大きな安心材料です。専門試験の対策さえしっかりすれば、これまでの臨床経験がそのまま武器になります。

どのルートが向いているか

ここまでの3つのルートを、向いている人のタイプで整理するとこうなります。

どのルートにも共通して言えるのは、「公務員になる=資格を手放す」ではないということです。むしろ、臨床経験があるからこそ選べる道が、公務員というくくりの中にも複数用意されています。

採用試験の流れとスケジュールの目安

実際に動き出す前に、大まかな試験スケジュールをイメージしておくと準備がしやすくなります。

①の行政職(社会人経験者採用枠)の場合、多くの自治体で春から夏にかけて募集要項が公開され、夏に一次試験(教養試験・専門試験・小論文など)、秋に二次試験(面接)という流れが一般的です。合格発表から採用までは半年前後のタイムラグが生まれることも珍しくないため、退職のタイミングを逆算して動く必要があります。

②の公立病院ルートの場合は、通常の病院転職とほぼ同じスケジュール感です。求人が出るタイミングで応募し、書類選考・面接(専門知識を問う内容が含まれることもある)を経て、内定という流れになります。年度替わりのタイミングでの求人が多い点は民間病院と同様です。

③の自治体専門職の場合は、①と②の中間のようなスケジュール感になります。専門職としての募集要項が自治体のホームページで公開されるので、こまめにチェックしておく必要があります。

いずれのルートも、求人や募集要項が出てから準備を始めるのではなく、志望する自治体・機関の採用ページを定期的に確認しておくことが、良いタイミングを逃さないコツです。

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よくある疑問

Q. 臨床経験は何年あれば有利になりますか?

A. 明確な年数の基準があるわけではありませんが、初任給の号俸算定では「同職種の経験年数」がそのまま加味される仕組みです。数年単位の臨床経験があれば、新卒で採用されるケースより初任給が高く設定される可能性が高くなります。

Q. ②のルートなら誰でも公務員になれますか?

A. 公立病院の求人であることが前提になるため、募集自体が出ているかどうかを確認する必要があります。都道府県立・市立の病院の採用情報は、各病院のホームページや医療系の求人サイトで確認できます。倍率は病院や年度によって差があるため、複数の病院を並行してチェックしておくと選択肢が広がります。

Q. 一度公務員になったら、また民間の病院に戻れますか?

A. 制度上は可能です。ただし退職金の計算方法や年金の扱いなど、勤続年数に紐づく制度は一度リセットされる部分もあるため、長期的なキャリアプランの中でどのタイミングの転職かを考えておくと安心です。

求人・募集情報の探し方

3つのルートは、探し方も少しずつ異なります。

①の行政職の場合は、志望する自治体の公式ホームページにある「職員採用」ページを確認するのが基本です。社会人経験者採用枠は毎年実施されるとは限らず、自治体によっては数年おきの実施になることもあるため、早めに情報を集め始めておくと安心です。国家公務員の場合は、人事院や各府省の採用情報ページが窓口になります。

②の公立病院ルートの場合は、都道府県立病院・市立病院それぞれの採用ページのほか、医療職専門の求人サイトでも「公立病院」「地方公務員」といった条件で絞り込みができることがあります。普段リハビリ職の求人を探すときと同じ感覚で探せるのが、このルートの気軽さでもあります。

③の自治体専門職の場合は、自治体のホームページで「専門職採用」「資格職採用」といったカテゴリを確認するとよいでしょう。保健センターや介護保険課などの部署名で検索すると、求人が見つかりやすくなります。

いずれのルートも、公開されるタイミングが年に1回程度しかないことが多いため、「見つけたときに応募する」のではなく「見つけるための巡回ルートをあらかじめ決めておく」ことが、機会を逃さないための地味だけれど有効な工夫です。

まとめ

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士から公務員を目指すとき、選択肢は「行政職に転職する」だけではありません。公立病院でこれまでの仕事を続けながら公務員という身分を得る道、自治体の専門職として資格を活かす道も含めて、自分がどのバランスを求めているのかを整理してみることをおすすめします。

給与面では、地方公務員なら医療職給料表、国家公務員なら医療職俸給表(二)が適用され、経験年数がそのまま号俸に反映される仕組みです。臨床経験を積んできた人ほど、その経験が転職後の待遇にも活きやすい環境だと言えるでしょう。「公務員=行政職」というイメージだけで選択肢を狭めてしまわず、まずは自分の勤務先候補として公立病院も含めて調べてみることから始めてみてください。

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